2021年 5月 02日BITS AND PIECES
ABOUT JAMES ROSENQUIST
ジェームズ・ロゼンクエストはアーティストになる前は屋外広告などの巨大な看板を描く職人だったという。
ポップが大衆向けという意味であるなら、ポップアートの世界に登場した数多いアーティストの中でもこれほどポップなバックグラウンドの作家は他にいないのではないだろうか?
彼の作品を最初に見た時、その大胆でビビットな色使いと、写実力、画面構成の奇抜さに衝撃を受けた。
それは写実的な絵なのだが写真のようではなくあくまで絵として存在していた。
独特な雰囲気の絵画はおそらく看板を描いていた頃に培った作画のスタイルなのではないだろうか。
日本では昔、映画館の入り口などには映画の宣伝看板が必ずあってそれらは写実的なのだけど近くで見ると筆のタッチがありありと分かる絵だったのだが、ロゼンクエストの描き方にはそれに通ずるものがあるような気がする。
彼の画面構成もまた独特で、色々な物や人がコラージュのように断片的に描き並べられていたり混在していて中には白黒の写真のようなイメージがあったりもする。
またはポップな色の食べ物や天体観測のイメージに大きな指が構成されていたり、異なったコマが画面の中で融合されてひとつになって摩訶不思議なイメージの世界を作り上げている。
晩年には更に複雑に入り組んだイメージの融合を絵にしたような世界も描いていて、その独自の絵画はどんどん重層的にエスカレートして行った感じがするが、彼にしか描けないような複雑なイメージの混在と融合を描きながらそれを楽しんで追求しているような感じさえする。
ポップアートと言うとアンディー・ウォーホールが有名だが、ロゼンクエストはポップアートを黙々とまるで看板を描くかのように描き続けたアーティストとして独自の地位を築いた偉大なアーティストだと思う。