THE PRIVATE WORLD OF PABLO PICASSO

DAVID DOUGLAS DUNCANがピカソのプライベートな生活をドキュメントとした写真集「THE PRIVATE WORLD OF PABLO PICASSO 」はニューヨークのグリニッジビレッジにある古本屋のショーウィンドーに平置きにして飾られていた。

そこに開かれてあったのは、ピカソの鋭い眼のアップが見開きで迫ってくるようなページだった。

強烈な眼力のイメージには、ピカソ好きな僕を買う気にさせるには十分過ぎるインパクトがあった。

ピカソといえば女性遍歴の凄まじさで知られる。

恋多き男、その情熱をクリエーションの原動力にしたアーティスト。

しかし、身勝手で独占欲の強いその愛情は常に激しく過激だったために回りを傷つけることもおかまい無しだった。

オルガ・コクローヴァ、フェルナンド・オリヴィエ、エヴァ・グレル、マリー・テレーズ、ドラ・マール、フランソワ・ジロー、ジャクリーヌ・ロック。。。(このうち、マリー・テレーズとジャクリーヌ・ロックは自殺している)

とにかく、生涯を通して女性遍歴が凄い男だったのだ。

ピカソの写真を撮った写真家には他にもブラッサイやアンドレ.ヴィラールなどもいて、写真集も持っているが、僕は、最後の妻ジャクリーヌ・ロックと南仏で暮らしていた晩年のピカソを撮ったこのデヴィッド・ダグラス・ダンカンの写真集がとても好きだ。

まさに生活の全てがアートというにふさわしいアートだらけの彼のアトリエでの生活風景。

孫みたいな幼さの子供達とおどけて遊ぶ姿やアトリエに訪れた友人との姿、日々の真剣な作品制作をする姿などからピカソという人間の素顔が垣間みられる。

ピカソのこととなると言いたいことは沢山あるのだが、女性遍歴に関係して話をするなら、僕が一番好きなピカソが女性を描いた絵は彼がフランソワ・ジローと一緒だった頃の絵だ。

フランソワ・ジローをまるで太陽のように崇めた絵は彼のフランソワ・ジローへの愛情の深さを表しているかのようである。

その後、ピカソに愛想を尽かして2人の子供を連れて他の男と結婚し、唯一ピカソをふった女と言われるフランソワ・ジローだが、愛したが故に異常なまでの独占欲で支配しようとしたピカソにとってはさぞショックな出来事だったはずだ。

ピカソの女性遍歴については賛否両論だとしても、生涯をアートに捧げ、最後まで作品を作り続けたピカソの芸術家としての功績には誰も文句は言えないと思う。

その女性遍歴、生み出したアートの圧倒的な量、後世に残した影響力においてピカソは唯一無二の絶対的な天才アーティストだと思う。