2021年 1月 24日NOT ART BUT TREASURE
NOT ART BUT TREASURE VOL.4
美術ジャーナリストの鈴木芳雄氏がアートなお宝を紹介する「作品じゃないけどお宝です」
VOL.4 は「ティルマンスのサイン」です。
2004年秋に東京オペラシティ アートギャラリーでウォルフガング・ティルマンスの展覧会「Freischwimmer」があった。
その数ヶ月前にロンドンでティルマンスのインタビューをした。
彼はすでに日本でも写真集が売れていたし、海外の展覧会でも高い評価を受けていたので、ぜひ東京での展覧会の抱負など、読者に話をしてもらいたかったからだ。
2004年10月15日というのはティルマンス展内覧会の日
そのティルマンスのインタビューを巻頭のネタにして、特集の全体は「ボーイズフォト」、タイトルは「BOYS’ LIFE」にした。
当時盛り上がっていた「ガーリーフォト」に負けてはいられないという意味も少しはあったのだけれど、それはジェンダー的区分というよりは、写真のスタイルの区分のつもりだった。
実際、この特集には野口里佳さんや森本美絵さんという女性の写真家の作品も掲載している。
彼らのスタイルが少年っぽさをもっていたからだ。
BRUTUS 2004年8月15日号 マガジンハウス
ティルマンスのインタビューは彼の当時のロンドンのアトリエで行なった。
それまでの彼の活動のこと、私生活のこと、誰でも撮れそうだけれどそうではない彼の写真のこと、東京の展覧会のことなどを聞いた。
ソファに横になると長身がますます際立つ。撮影はホンマタカシさん
そのインタビューをしてから数カ月後、展覧会のために来日したティルマンスに再会し、展覧会場で再びインタビューした。
そのときはもちろんすでにこの特集は出来上がっていたので、宣伝用のポスターにサインしてもらったというわけ。
コンコルドを捉えた連続写真をそのまま使ったポスター、カッコいいでしょ。
Wolfgang Tillmans
プロフィール:
鈴木芳雄|Yoshio Suzuki
編集者/美術ジャーナリスト。
明治学院大学・愛知県立芸術大学非常勤講師。
雑誌「ブルータス」元・副編集長(フクヘン)。
共編著に『カルティエ、時の結晶』『村上隆のスーパーフラット・コレクション』『光琳ART 光琳と現代美術』『チームラボって、何者?』など。
雑誌「ブルータス」「婦人画報」「ハーパーズバザー」などに寄稿。