KANOKO TAKAYA

天王洲アイルに開設されたTHE LOOP GALLERYにて髙屋佳乃子個展『SKIN SHIP』が開催されています。

京都府出身の髙屋佳乃子は、バリ島を頻繁に訪れていた母親の影響で幼少期からインドネシアの文化と美意識に触れて育ちました。

2014年からはインドネシアに拠点を移し、絵画やミクストメディア、立体作品などの制作活動を行っています。

移住後、最初に発表したお面やバティックの技法、モチーフなどの伝統文化から発想を広げる「インドネシア」シリーズ以降、髙屋佳乃子は生命の神秘や内省的な側面への探究をより深めていきます。

作品に生き物のような柔らかさや存在感を追い求めた髙屋は、布や石膏、レジンをはじめとする様々な素材を使用し、塗装や成形、研磨といった制作工程を繰り返し積み重ねることで、絵画や立体という概念とは異なる、全く新しい次元の作品を生み出しました。

その肉感的で有機的なフォルムと、身体や器官のラインを連想させる凹凸や曲線、人間の肌のような質感は、髙屋佳乃子の手を通じて命が吹き込まれたかのように作品に鼓動を与え、鑑賞者の潜在意識に家族や友人のような親密さと心地よさを持って語りかけます。

この展覧会では、新たな質感を追求した新作計16点が発表されました。

THE LOOP