2023年 6月 23日TRAVELING FOR ART
NAOKI KOIDE
六本木にある小山登美夫ギャラリーにて、小出ナオキ展「イオニコニアン:生まれなかった王国の遺構」が開催されました。
小出ナオキにとって10年ぶり6度目の個展となるこの展覧会では、陶芸による立体作品をメインに、ドローイングや新たな試みとなるミクストメディアの平面作品を発表しました。
作品はすべて新作での構成となりました。
小出ナオキは1968年愛知県生まれで、1992年に東京造形大学造形学部美術学科を卒業し、現在は千葉県を拠点に制作活動を行っています。
活動初期に、おもにFRPや木などを素材とした立体、写真作品を制作したのち、2010年滋賀県立陶芸の森での滞在制作より、セラミックでの作品制作を開始しました。
自身「(陶芸の)焼成という区切りの時間が、自分の気持ちのタイミングと一番合う」と語るように、それは現在まで継続する手法となっています。
また今までの作品、展覧会では、母親の他界や、自身と恋人、結婚式、新居、子供の誕生など、小出ナオキの個人史ともいえる生活の転機がテーマとなっていました。
家族や身近な人々や生き物を、どこかユーモラスで、まるで夢の中のような、時空や現世を超越したような姿にする表現で作品化してきました。
それは鑑賞者に共通するような記憶を刺激しながらも、不可思議な愛らしさや幸福感があり、小出ナオキの周りの存在へのあたたかな視点が感じられます。