SHUNSUKE KANO

神楽坂にあるギャラリー、Maki Fine Artsにて、加納俊輔の個展「Combined City」が開催されました。加納俊輔の作品は、写真を通じて、画面に複数の階層を作ることで、「見ること」への感覚を問い直します。

写真を複数回撮影して多次元のレイヤーを作り、画面を圧縮する「layer of my labor」や、印画紙を透過させ、表と裏を同時に見ることを実現化した「Pink Shadow」など、ものの前後関係や奥行きが曖昧になるような、イリュージョンを生み出す作品を発表してきました。

この個展で発表された新シリーズ「Combined City」は、これまでとはアプローチが異なり、写真によるコラージュに近いものです。

それは、ひとつの対象を異なる視点から撮影し、画面上で複数の写真を組み合わせる手法で制作されています。

対象を複数の視点から同時に見ることを具体化した「Combined City」は、加納俊輔が北九州市に旅した際に見た光景が、アイデアの原点になったと言います。

人口規模の大きい5つの市が同等に統合した北九州市は、歴史的にも稀な合併とされます。

小が大に編入されるのでなく、均一のものが複数共存する、「合体都市」のイメージが作品表現に繋がっています。

画面を横断し、交差する曲線は、地理的な境界線を想起させますが、隣り合うピースが分断されることなく、断続的に繋がり合いながら、新しい次元の風景を構成しているのです。

MAKI FINE ARTS