MAKI Gallery

アートとの出会いを求めて過去の世界のアートフェアや今東京で開催されている展覧会などを訪ねるTRAVELING FOR ART。

今回は天王洲アイルのテラダ・アート・コンプレックスにあるMAKI Galleryにて開催中のニューヨークを拠点に活動するアーティスト、ミヤ・アンドウの個展「Kuu/空」をご紹介します。

ミヤ・アンドウは雲や自然現象など形があるようで実はないものをテーマにそこに存在する「気」を様々な素材を用いて作品にする作家です。

日本人とアメリカ人の両親の元で育ったミヤ・アンドウは日米両方の文化や価値観に影響されながら育ちました。

とくに岡山で住職をしていた祖父と幼少期を過ごした経験から仏教の世界観に影響を受けたことが独特な作品表現の根底にはあるのだと言います。

雲などの絶えず変化する儚い自然の現象を金属に描くシリーズなどはまるで禅の境地のように深く根源的なテーマであり見るものを深い思考へと導きます。

仏教思想に深い影響を受けた独特の世界観は心と物質の狭間をさまよう我々の普遍的な存在を改めて思い起こさせるようです。

存在しないものを意味する空、天空の空、全てを受け入れられる空の状態の空、様々な「空」を意味する言葉としてこの展覧会のタイトルである「Kuu/空」はつけられたそうです。

ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA)をはじめ多くの美術館に収蔵が決まる世界的にも注目度の高いアーティスト、ミヤ・アンドウの作品を堪能できる展覧会です。

宇宙にある無数の星に想いを馳せるような作品はとても静かですが迫力があります。

金属板に描かれた雲の風景の前には黒とシルバーに着色された木のブロックの立体作品が置かれています。

金属の板に表された雲の作品は見る位置によって金属が反射して一瞬の刹那的な姿を見ることができるのだそうです。

自然の風景を薄い垂れ幕に写したような作品は風でゆらゆらと揺れ動きます。

銀色の金属板に雲のある風景ですが見る角度によって様々な姿に見えるのです。

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