Expanding Abstraction

過去に開催された世界のアートフェアや日本で開催されるギャラリーでの展覧会の様子をお届けするTRAVELING FOR ART、今回はCADAN YURAKUCHOで開催されているグループ展「Expanding Abstraction-抽象のかたち」を紹介します。

実際に具象として存在しないものを色や線、形などを用いて表現する「抽象」のあり方はアメリカの抽象表現主義を筆頭に現代に至るまで進化を続けています。

ある意味、芸術を具象的なものから解放した抽象表現、さらには従来の抽象表現から思考そのものの抽象性へと視点を向けて誕生したコンセプチュアルアートとしての抽象や思考すらも超えた形を持たない抽象世界への試みもあります。

抽象の概念はとどまることなく、それぞれの時代に生きる作家たちによって新たな定義の元に問われ直し新しい表現に挑戦してきました。

このグループ展は様々な時代や定義の抽象表現の作品を一堂に見るまたとない機会を与えてくれます。

抽象表現の絵画では歴史のあるアメリカで新世代の抽象表現の作家として作品を制作しているジャッキー・サコッチオの作品です。絵の具のたれや無数の点などを用いて作られる複雑な色と形が画面を構成します。

抽象表現主義の初期の信念を受け継いだアメリカのアーティスト、サム・フランシスのダイナミックな作品です。

具象表現から抽象表現へと表現手法を展開する若手の日本人作家、猪瀬直哉の2019年の作品です。

白一色のシンプルでミニマルな陶芸作品によって精神的な抽象世界を表現してみせる日本の陶芸作家、黒田泰蔵の美しい作品です。

CADAN