2020年 12月 26日TRAVELING FOR ART
MA2 GALLERY
世界中で開催されたアートフェアや今東京で開催されている展覧会などを紹介するTRAVELING FOR ART、今回はMA2ギャラリーで開催されている袴田京太郎さんの展覧会「彫刻の壊れ」をご紹介します。
袴田さんの彫刻作品へのアプローチはとても変わった視点で展開されています。
それは普段は見せない、あるいは見ることのない彫刻の姿をわざと見せることによって彫刻という作品と世界のつながりを確認する作業とでも言えばいいのでしょうか。
打ち倒された独裁者の彫刻、閉鎖された美術館で誰にも見られることのない仏像、そういった彫刻の本来の姿とは異なった風景を日常に出すことによって新たな彫刻作品を模索します。
木彫とアクリル板の色の層を融合する、本来は裏面である彫刻の後ろ側を表にして展示する、このような様々なアプローチで彫刻の本質的なあり方に挑戦します。
普段とは違った視点で見慣れた彫刻を表現することによってそこに新たな日常の風景と感受性が現れるのです。
木の仏像や木彫は部分的にカラーアクリルの層に入れ替わり壁面を向いて展示されています。
本来なら表向きに展示される彫刻を表を壁面に向けて展示し、しかも展示位置もかなり高く展示されています。
木彫とカラーアクリルの見事な層の融合と対立の共存が面白い関係性を生み出します。
カラーアクリスの層だけで作り上げられた人体の立体作品も顔を壁面に向けて展示されています。
仏像と心臓の木彫もカラーアクリルと混同して成形され横向きなど普段とは違う姿で展示されるのです。