GROUPE SHOW
アートフェアやギャラリー巡りなどを紹介するTRAVELING FOR ART。今回は2020年の東京から。
六本木にあるタカイシイギャラリーで3人のアーティストによるグループ展が開催されていました。
高木大地、山下紘加、リシア・ビダレスの3人による絵画のグループ展では三人のそれぞれ違う表現を垣間見ることができてとても興味深い展覧会でした。
高田大地は1982年岐阜生まれ、多摩美術大学にて油彩を学び2018年から1年間文化庁の助成によりオランダのアムステルダムへ活動拠点を移したそうです。
オランダに移ってからそれまでの絵画の表現理論や方法論を探求する表現からより自身の直感に従い描くという行為に取り組んだといいます。
モチーフも木や雨、水面、窓、鳥といった作家の身の回りのものを観察して描くようになったのです。
山下紘加はニュージャージー州のメイソングロス大学でMFAを取得し以後ニューヨークを拠点に活動したのち現在は岡山を拠点に活動しています。
山下の絵画には古くから日本の和歌などに用いられた自然と人のつながりや記憶、発見、愛慕といった日常の営みで観察される行為が丁寧に描かれます。
西洋的な絵画に日本画特有の画面構成などを取り込み線や色の境界をぼかして日本的な儚さを表現するのです。
ルシア・ビダレスは1986年メキシコ生まれで現在はモンテレイ大学に勤めつつ制作活動をしています。
ビダレスの絵画は絵画の歴史やそのレパートリーを巡る彼女なりの個人的な想像から生まれます。
絵画における様々に一貫する表現の物語を閃きと感性によって描き出すのだが詩的でさえあると感じられるイメージとそこに折り重なる色彩などが非常に印象的で美しいと感じられます。
3人のアーティストによる個性的な表現を一堂に見れるこの展覧会は絵画表現の様々な姿を見せてくれました。
高木大地の作品は身の回りの風景などを丹念に絵画作品として描き込みます。
しっかりと描きこまれた画面は筆の動きもわかり制作の風景がわかるようです。
筆の勢いや力を最大限に感じられる中で見事な絵画表現が実現されています。
山下紘加の絵画には西洋的な要素と日本画のような美意識が混在しています。
淡く儚い色使いを薄塗りを繰り返すような丁寧な筆運びで表現しています。
独特な色の使い方も素晴らしく青色などとても魅力的に使われています。
ルシア・ビダレスの表現は絵画への彼女の個人的な想像から生まれるのです。
独特な色使いは鮮烈で感情的でさえありますがとても美しいです。
なんとも言えない艶かしさと儚さを感じる表現は青い色が印象的です。