ASTRID KLEIN

六本木にあるTARONASUギャラリーにてドイツ生まれの作家、アストリッド・クラインの展覧会「私は沈黙を、夜を書いた」は開催されています。

ポストモダニズムにおける重要な役割を果たしたとされる「The Pictures Generation」ですが、1970年代後半よりアストリッド・クラインは、ヨーロッパにおけるこの運動の旗手として活躍してきました。

映画の文法を引用したモンタージュや見立ての手法を用いて、絵画、コラージュ、写真、インスタレーションにおけるイメージとテキストの関係性を考察する作品は、その関係性の背後に潜む問題をあらわにすることをも試みる制作姿勢で、近年、新たに注目を浴びています。

経済と人間の尊厳、生と死、暴力、社会的あるいはジェンダー的役割など、極めて現代的な問題に対して、1970年代からすでに意識的に取り組んでいたことこそが、アストリッド・クラインの作品に対する近年の再評価の最大の理由であり、彼女の作品にこめられた批評精神はあらためて新鮮な考察の対象となっています。

この展覧会では、彼女の代表的な二つのシリーズより作品9点が紹介されました。

TARONASU