ENRICO ISAMU OYAMA

天王洲アイルにあるギャラリー、Takuro Someya Contemporary Artにて、4年ぶりとなる大山エンリコイサムの個展「Epiphany」が開催されています。

大山エンリコイサムは1983年に生まれで、現在はニューヨークと出身地である東京を拠点に美術家として制作活動を行っています。

また、独自のエアロゾル・ライティング文化を体系的に論じた主著『アゲインスト・リテラシーグラフィティ文化論』などの執筆でも知られています。

大山エンリコイサムの作品に欠かせないのが「クイックターン・ストラクチャー」と名付けられた独自な形をしたモティーフです。

これはストリートアーティストが名前の造形を通して自身のアイデンティティを示すときのレターから文字を取り除くことで線の運動にまで解体し、それを抽象的なかたちに再構成した作家独自の概念です。

大山エンリコイサムにとって「クイックターン・ストラクチャー」は世界と関わるための手段であり、その場やそれを取り巻く諸条件との相互作用から生成されるのです。

この展覧会「Epiphany」では、大山エンリコイサムが2012年の渡米後まもなくして制作を始めた「Found Object」シリーズの23点組最新作が中心に展示されています。

epiphany」はキリスト教の語彙として「啓示」を意味するほか、日常的には「ひらめき」や「気づき」と訳されます。

最新作のベースは、ムリーリョ、シャルダン、ジョットといった西洋美術史上の芸術家の作品イメージが刷られた版画で、英国オックスフォードの古道具屋で手にしたそれらに、大山は、みずからの「クイックターン・ストラクチャー」を差し込むことで過去の作品イメージとの対話を試みています。

同時開催では「クイックターン・ストラクチャー」で描かれた大型作品も展示されています。

TAKURO SOMEYA CONTEMPORARY ART