HARUNA SHINAGAWA

神宮前にあるギャラリー、EUKARYOTEにて、品川はるなの個展「Tracing Memories Through the Window」が開催されました。

この展覧会は、これまで品川はるなの特徴であった鮮やかな単色による作品群と、それらに対応するように制作されたモノクロームの作品群が同時に発表されました。

黒、グレー、シルバーといった彩度を削ぎ落とした絵具によって構成された画面と、同様の色面構成や絵具の膜の剥離を鮮やかな色彩で再現した作品とを対比させることで、鑑賞者各々の持つ、色彩そのものの記憶や知覚のあり方を問いかけます。

今回の制作に取り組むきっかけとなったのは、アクリル絵具や制作道具など、自身の活動を支える素材の多くが石油化学製品に依存していることへの関心、また、ナフサ不足を背景に、カルビーのポテトチップスのパッケージ印刷が一時的にモノクロ化されたニュースを知ったことでした。

見慣れた色彩を失ったパッケージを前に、そこにあったはずの色を曖昧に思い返そうとする感覚は、品川はるなにとって、自身の制作に通底する「記憶の定着と欠落」の感覚とも重なったといいます。

品川はるなの作品は、絵具がキャンバスに固着する部分と、膜として剥がれ落ちる部分によって構成されています。

それは単なる技法的特徴ではなく、自身の内側に残り続ける記憶と、抜け落ちていく空白への関心に根差したものでもあります。

作家が語る「カーテンと窓」という構造も、そうした制作過程の中から立ち上がってきました。

この展覧会では、モノクロームの画面と、その失われた色を想起させる鮮やかな画面とを時間差で体験することで、私たちが無意識に保持している色彩の記憶や、物質に支えられた視覚環境そのものへの再認識を促します。

EUKARYOTE