2024年 8月 04日TRAVELING FOR ART
KIMIYO MISHIMA
練馬にある練馬区立美術館にて三島喜美代の展覧会「三島喜美代ー未来への記憶」が開催されました。
三島喜美代は、1950年代から絵画を出発点に現代美術家としての活動をスタートさせ60年代には新聞や雑誌などの印刷物をコラージュした作品やシルクスクリーンを用いた平面作品を制作していました。
70年代に入ると表現媒体を一転、シルクスクリーンで印刷物を陶に転写して焼成する立体作品「割れる印刷物」を手掛け、大きな注目を集めます。
日々発行され、膨大な情報をあふれさせる印刷物と、硬く安定しているかに見えながら、割れやすく脆い陶という素材を組み合わせることで、氾濫する情報に埋没する恐怖感や不安感が表現されました。
しかし、大量の新聞や雑誌がすぐに消費されてゴミとなるように、情報からゴミへと三島の問題意識も次第に移っていき、空き缶や段ボールなど身近なゴミを題材に陶で再現した作品、産業廃棄物を高温で処理した溶融スラグを素材とする作品を発表しました。
この展覧会は、展覧会期間中に他界した三島喜美代の70年の長きにわたる三島の創作の軌跡を、主要作品を通して概観するものでした。