MICHAEL KAGAN

MICHAEL KAGAN

天王洲アイルにあるMAKI Galleryにて、ブルックリンを拠点に活動する作家、マイケル・ケーガンによる日本で初めての個展「To The Moon」が開催されました。

この展覧会では、最初と最後の有人月面着陸計画であるアポロ11号と17号のアイコニックな瞬間を表現した平面・立体作品が発表されました。

マイケル・ケーガンの多様な作品群は、私たちの記憶に深く刻まれた、人類の挑戦と成功の物語を巧妙かつ情熱的に紐解きます。

帰還用のカプセルは、宇宙飛行後に乗組員を安全に地球に帰還させるために設計された宇宙船の一部です。つまり、このカプセルは、アポロ11号の唯一生き残った部分であるのですが、マイケル・ケーガンはカプセルをヒーロー として崇め、まるで聖遺物かのように敬意をもって扱います。

月面着陸は人類史上最も素晴らしい偉業の一 つとされていますが、この展覧会では宇宙飛行士が無事に帰還したことも同様に奇跡的な出来事として位置づけています。

「Astronaut」は、ʻ月面を最後に歩いた人物 ʼとして知られるアポロ17号の船長、ジーン・サー ナンのブロンズ像です。

このブロンズ像は2018年にマイケル・ケーガンが描いたペインティングを元にしていますが、そのペイ ンティング自体も、月面歩行中のサーナンを写した有名な写真を参照しています。

これらの大型な立体作品は、威 圧的とも言えるほど圧倒的な存在感を放ちながら、鑑賞者に迫ります。

その重厚的なフォルムは、無数のブロッ クが重なり合うことで複雑化されていますが、これはマイケル・ケーガンのペインティングでも見られる、太く幾何学的な筆致 を引用しています。

この展覧会は、月探索という歴史上の特定の瞬間を参照しつつも、宇宙飛行士の鏡面仕上げが施された バイザーや、分厚い宇宙服によって、その中にいる人物の正体は覆い隠されています。

それによって、これらの彫刻は具体的な場面に言及しながらも、人類の無限の可能性の象徴的な記念碑ともなっているのです。

MAKI GALLERY