NAOFUMI MARUYAMA

六本木にあるギャラリーShugoArtsにて丸山直文の絵画展、「水を蹴る」が開催されました。

水面に映る景色のように丸山直文の絵画は画面の上で揺らぎ続けます。

視点は定まらず、絵は滲むようにキャンバスの外の世界へと広がり、見るものが持つそれぞれのイメージと繋がったり、また離れたりします。

山は川と混ざり、川は空と混ざり、そして私たちと混ざり合うのです。

自由に解放されたもう一つの世界がそこにはあります。

丸山直文はキャンバスの上に水を張り、水を通して画布に絵具を染み込ませながら描きます。

その独特な手法によって、描いている過程で色も形も、作家の目的も変化し続けます。

不安定で流動的な環境においてどのようなイメージを育てることができるか、そして不安定で流動的なリアルにおいてそれらはどう映るのか、丸山直文の関心は水というミディアムを通して探求され続けてきました。

絵画は物質的な側面を備えつつも静的な存在ではなく時間や場が変われば、その意味も変化します。

その自由を受け入れる容れ物として、ゆらゆらと捉え所のない丸山直文の絵画はむしろ優れて柔軟な強度を持っていると言えるのではないでしょうか。

SHUGOARTS