TOMOKO YONEDA

六本木にあるギャラリーShugoArtsにて米田知子の個展「氷晶」が開催されました。

20世紀の波に翻弄された人物の内奥に迫る「見えるものと見えないもののあいだ」、かつてそこに発生した出来事の痕跡を切り取る「Scene」など、米田知子の作品は常に歴史性や場の記憶と深く結びついています。

その制作の根底には人類を含めた生に対する真摯な想いと平和への切なる願いがあるということは思いのほか語られてきませんでした。

この展覧会では米田知子が自然界の儚くも雄大な存在にフォーカスを当て、「私たちは皆、制御不能な大きな一体感の中にいる小さな存在」であることを示唆する作品で構成されています。

2013年から23年までに撮影された氷晶シリーズはフィンランドの凍てつく寒さの中で撮影されました。

これらの小さな氷の結晶は少しの環境の変化で消えてしまいますが、繰り返しその姿を地上に現すという自

人々の様々な記憶や歴史の痕跡の撮影を続ける米田知子は常に自然を通した生への眼差しを持ち続けてきたのです。

SHIGOARTS