Venice Biennale 2017
今や世界中で開催されているアートフェア。しかし、現在はコロナの影響でアートフェアも全て中止になってしまいました。VISITではアートフェアを訪れた時の写真を紹介けすると同時に現地でのギャラリー巡りや美術館巡りの写真も紹介します。また日本のアートフェアやギャラリー、ミュージアムの展示の紹介もいたします。
アートに出会いに世界を行く旅、第1回で訪れるのは2017年にベニスで開催されたヴェネチアビェンナーレです。水の都ヴェニスで2年に一度開催されるヴェネチアビエンナーレは1895年から開催されている歴史ある現代美術の国際美術展覧会です。写真は世界一美しい広場と呼ばれるサン・マルコ広場です。
国際的な芸術の祭典は多岐にわたり数多くありますがその中でも美術展は中心的な存在。現代美術の世界の動きが見られるので参加する国の作家はもちろん関係者にとっても貴重な機会なのです。毎回ビエンナーレ財団によって選ばれる総合ディレクターがテーマを設定しそれをもとに各国が自国パビリオンに代表選手的にアーティストを送り込んで展示をさせます。
2017年のビエンナーレに日本から送られたアーティストは岩崎貴宏氏でした。斬新なアイデアと発想でありながら表現は実に繊細で緻密な作品で知られる作家で宙に浮く日本の伝統的な建築物の立体作品は海外の人々に驚きを与えました。
水上都市ヴェニスでの交通機関は船や有名なゴンドラです。美しい形のリアルト橋を渡って対岸のカナン・グランデにあるペギー・グッゲンハイム美術館へ行って見ました。ニューヨークにあるソロモン・グッゲンハイム美術館の姪にあたるペギー・グッゲンハイムは収集したアメリカやヨーロッパの近代美術のコレクションを展示するために1949年にこのミュージアムを設立し死ぬまでベニスで過ごしたのです。
この時はペギー.グッゲンハイムが大好きだったアーティストの1人、パブロ・ピカソの絵画展を開催していました。1927年に制作された浜辺で泳ぐ女性を描いた「Bathing Woman」はピカソの傑作の一つだと思いますが実物を見ることができたのです。この絵画におけるモチーフの極端なディフルメ、簡素化といった表現手法はピカソが得意とするところでまさにピカソらしい表現の集大成だと思うのですがキュビズムなど彼が試みてきた他の表現方法のエッセンスが凝縮したような作品だと思います。
ヴェニスといえばヴェネチアングラス。花瓶や装飾品、シャンデリアなど様々なガラス工芸品はヴェニスから船で10分ほど離れたムラーノ島で作られています。ガラス工房の島ムラーノ島ですがその昔貴重なガラス工芸の技術や職人を逃さないためにこの島に閉じ込めていたという話も聞きます。今この島で作られているヴェネチアガラスを使ったガラス工芸品の中には現代的なオブジェもあり色も美しくとてもカラフルでした。
ベニスの名物ゴンドラでの水路巡りです。美しい流線型のボートには装飾も施されとてもエレガント。船頭さんが長い棒一本で自在に船を操ります。
この年のヴェニスでビエンアーレと共に注目されていたのがイギリスのアーティスト、ダミアン・ハーストによる二つの巨大な展示でした。「難破船や遭難線からの宝物』というタイトルのこの展覧会でハーストは難破船や遭難線から引き上げられた数多くの架空のお宝を制作して発表したのです。パラッツォグラッシとプンタデッラドガーナのふたつの会場でお披露目された作品群は信じがたいほどの膨大な数と規模で圧倒的。人工的に作られた架空のお宝は実際に海に沈められたそうですがアート作品にここまでの制作費と年月をかけることが出来るというのは驚くべきことです。
海の底で様々な珊瑚や貝などが付着した巨大な架空のお宝は圧巻です。この作品を発表したダミアン・ハーストは1965年イギリス生まれで1980年代後半から美や宗教、化学や生と死などの関係性を探求するような作品を作ってきました。作品はインスタレーション、彫刻、絵画など多岐にわたりますが常に見るものをあっと言わせるような衝撃的な作品を作ることで有名な作家なのです。
ダミアン・ハーストによる驚きの作品、とどめはこの地上3階以上もある大きな巨人の立像でした。ブロンズでできているような光沢もありますが特殊開発した素材でできているそうでいくつものパーツを組み立てて完成したそうです。カメラに収まりきらない超巨大なサイズには「どうやって作ったんだろう?」「どうやってここに運び入れたんだろう?」とただ唖然とするばかりでした。