NEW YORK CITY 2017

アートフェアやギャラリー巡りなどを紹介するTRAVELING FOR ART。今回は2017年のニューヨークから。

アートに出会いに世界を行く旅、第2回で訪れるのはニューヨークです。かつて世界の芸術の中心地だったヨーロッパに変わり今や現代アートの中心地として君臨する世界一の「アートな街」です。

アップタウンにあったホイットニー美術館がロウアーウエストサイドに引っ越したあと、その建物はメトロポリタン美術館の別館としてオープンしました。THE MET BREUERと呼ばれる新しい美術館はメトロポリタン美術館とはまた趣向の違う内容の展示を展開していますがキュレーションの質の高さはメトロポリタン美術館のお墨付き。写真の作品は1950年代から活躍した抽象表現主義の代表的な画家ウィリアム・デクーニングの作品です。荒々しいタッチですが素晴らしい色彩と力強さです。コロナウィルスの影響もありTHE MET BREUERはメトロポリタン美術館が手放すこととなりしばらくは改装工事に入るフリックコレクションの一時的な展示スペースになるそうです。

HE MET BREUER

次に訪れたのはニューヨーク現代美術館、通称MOMAです。1929年に創設された現代アートの美術館MOMAは近現代美術専門の美術館で絵画や立体作品といった近現代アートはもちろん優れたデザインのプロダクトや映像作品なども世界中から幅広く収蔵してます。写真の手前には村上隆さんの作品も見えます。

これは1950年代に活躍し始めたアーティストの1人ロバート・ラウシェンバーグの作品です。ジャスパー・ジョーンズなどとともにポップアートを牽引したアーティストで彼は意味のない古道具やイメージなどを作品に取り入れることで事物の持つリアリティーを作品の力として強調した作品を作り上げました。

 これらの立体作品はルーマニア出身のアーティスト、コンスタンティン・ブランクーシの作品。20世紀の抽象彫刻に多大な影響を与えた作家です。独創的で洗練された作品は木や大理石、金属など多様な素材を駆使して制作されています。ミニマル・アートの先駆者としてとても重要な作家です。

エレガントな女性の白黒写真はアーヴィング・ペンのエレガントなファッシォンフォトグラフィーです。画家を目指していたというペンはヴォーグのアートディレクターに見出され写真家になりました。その後、ファッションフォトグラフィーはもちろん、静物写真や世界の民族のポートレイトを撮影するなど様々な写真で戦後アメリカにおける写真表現の領域を画期的に広げました。多くのセレブリティーも撮影しましたが柔らかく安定した光を操って写し出されるペンの写真は息をのむほど美しいです。

MOMA

次はチェルシー地区にあるギャラリー街にやってきました。1990年代、ギャラリーがより広い展示空間を求めてソーホー地区からこのチェルシー地区に移りました。写真の作品はロバート・ロンゴの巨大なドローイングです。一見写真のようですが驚くほど緻密に写実的に描かれた作品はなんと木炭で描かれています。

METRO PICTURES

これはドイツの画家アンゼルム・キーファーの絵画作品です。戦後ドイツを代表するアーティストでドイツの歴史やギリシャ神話、聖書などの壮大なテーマを作品にする作家です。巨大な作品が多いことでも有名。

GAGOSIAN GALLERY

ニューヨークから電車で1時間程のアップステイトにある現代アートの財団DIAファンデーションのミュージアム、DIA Beaconに行ってみました。この部屋の中にぎりぎり収まっている感じの大きな彫刻はリチャード・セラの作品です。彼はアメリカを代表する現代アートの作家で彫刻や映像作品などで知られていますが何と言っても大量の鉄を使った巨大な彫刻作品を作ることで有名です。一体どうやってここまで大きな作品を作れるのか?どうやって運んでくるのか?そして作家がこのような規模の作品を作ることができる欧米の現代アート市場の豊かさにも眼を見張るものがあります。

DIA Beacon