VOL.4 YASUMICHI MORITA
過去にインタビューしたコレクターを再編集してお届けするCOLLECTOR Vol.4で紹介するのは森田恭通さんです。
日本はもちろん世界中でプロジェクトを手がける人気のインテリアデザイナーですが海外のアートフェアも見に行くほどの大のアート好きでもあります。
田辺
今日はありがとうございます。
森田
はい、よろしくお願いします。
田辺
早速ですがインテリアに於けるアートの役割っていうんですか?
そういうのは森田さんはどういう風にお考えですか?
森田
うん、あの~僕自身はインテリアの仕事をさせて戴く時に、最初からアート
ありきで入らないことが多いんです。
でもなぜか最近は、アーティストの友人が増えたこともあって、彼らの作品ありきでやるプロジェクトもあったりします。
大阪に作ったバーがあるんだけど、それはもう完全にアートメインで作ったバーで、メルビン・スクロスキーって写真家の作品を使いました。
1960年代にハーパースバザーとかでガンガンやってて今もまだご健在ですけど。
田辺
なるほど!
そうすると、シンプルな引き算の美もありますけど足し算というか、アートを入れることによってその場所の個性もより出て来たり。。。
なんか、こう上がる?空間になるっていうのはあるのですか?
森田
そう、上がる!
だからたぶん同じこときっと感じてらっしゃると思うけど、この10年くらいでアートに対する一般の人達の、エンドユーザーっていうとおかしいけど、一般の人のアートに対する認識はだいぶボトムアップして来た。
田辺
なるほどね。
森田
そういう気がしますね。
インテリアもそうなんですよ、インテリアも以前は家にはお金かけないとか、家には手が回らないって言ってた人も逆に若い子なんか車は買えないんで家具は良いの買いますとかね、なんか、お金の使い方も変わって来たのかなって。
田辺
なるほどね~
森田
だから若い子達もアートをやっぱり買ってたりするじゃないですか。
田辺
はいはい。
森田
それはだから投資って意味じゃなくて。
自分の気分が家で盛り上がるっていうのが、そのひとつの。
田辺
でも、森田さんの賛美眼っていうか、見てると、もちろんその派手なものとかありますけど、色っぽいもの好きですよね。
森田
やっぱりそれはもう、多いですね。
だからマイアミのアートフェアで一緒に見ても買う奴はやっぱりそっち系になる。。
田辺
そうですよね!
森田
しかし海外のアートフェアとか行くとスケールが違いますからね。
田辺
ですね、僕も前からそれを感じていて、日本のアートっていうのが世界基準に乗って行かないじゃないですか。
森田
そうですね。
田辺
だからやっぱり世界基準に乗りたければアーティストが飛び出して行かなきゃいけないみたいな。。村上さんや奈良さんみたいに。
森田
うんうん。
田辺
で、ニューヨークとかだと「俺はアーティストになって金儲けしてやる!」みたいなことを平然と皆言うでしょ。
森田
うんうん。
田辺
で、売れたらもうすっごいお金持ちになっちゃって。
結局、アーティストがお金儲けをするとよりスケールの大きい作品が作れるっていうサイクルなんですね。
そういう流れっていうか、決してアートがきれいごとじゃなくビジネスとして?やっぱり、売れて、それが作家に還元されるっていう流れがもっとうまく出来ると作家が育つんだろうなって思うんですけどね。
森田
アートを楽しむなんて昔の日本はお殿様しかやっちゃいけない物だったんじゃないですか。
田辺
なるほどね、そうですよね。
でも、やっぱりその戦後、戦前?
例えばその床の間があって掛け軸みたいな日本独特の文化もあったじゃないですか、それがだんだん今のお家とかはアート飾るところもなかったり、持ち家でなければ壁に釘打っちゃいけないっていう、こう、やりにくい状況が多いですよね。
森田
そう、で、住宅やる時にアートないなって思ってふっと困って、僕がよくやるのはテーブルを、あの、天板をガラスの天板にしてその下にアートを入れ替えれるようにしてあげるといつも好きな絵を見ながらいられる。
田辺
あーはいはい、なるほどね。
森田
僕も家でやってるんですけど、ちょうどこう90センチ角くらいのテーブルだとガラス乗せてアートを下に置くとそれがそのままアートになっちゃう。
田辺
ギャラリーになっちゃう!
森田
ギャラリーになっちゃう。
森田
あと、例えば壁はスプレーペインターの倉科さんに仕事を頼むんですけど。
倉科さん、壁が空いてるんですけどって電話するんです。笑
田辺
ははは。でも、倉科さんも本当にアーティストであり職人ですよね。
森田
そうそう、倉科さんは特に僕のインテリアとアートに関わりが深い人ですよね。
フランフランの店舗も含めてそうでしたけど、やっぱり、あの人は本当のアーティスト魂を持ってる人なんで、だから、僕らもお頼みする時はちゃんとリスペクトしながらプロジェクトも選んでやらないと失礼にあたるかなと思うんですけど、こないだも倉科さんと一緒にやったんですよ、大阪!
田辺
あ、そうなんですか!
森田
個室2部屋を、今回は倉科さん相当悩んでたんですけど。。いつもじゃない感じお願いしますって言ったんですよ!
田辺
あ!そのアバウトさは。。。
森田
ははは、で、考えて。。考えて。。。で、最終的にいくつか上がったんですけど、う~んって言って、で、倉科さん「あの、モザイクやってみませんか?」って言ったんですよ。
田辺
うんうんうん。
森田
モザイクで例えば誰もが知ってるようなニューヨークの景色とか、自由の女神とかあとは、フランスのパリのエッフェル塔とか、どう見てもださいアングルをですね、それを格好よく出来ませんか?って。
田辺
なるほど。
森田
で、やったら相当、それ奇麗に上がって来たんですけど、でも、さすが倉科さんだなって思ったのが、そこによーく目を凝らすと右の方にはたぶんモザイクで出来た僕が写り込んでいたりとか、モザイクって眼を凝らすと見えてくるんですね。
田辺
へぇ~
森田
で、色んなトリックをそこに入れてるんですよ。
田辺
なるほど!
森田
死にかけましたっていってましたけど!笑
田辺
あの~海外によく行かれるじゃないですか。
どうですか、海外でのアートの存在感というか。。。
森田
そうですね。。えーっと、圧倒的なスケールのものもあれば、気軽に街にギャラリーが普通にいっぱいあって。。日本よりやっぱり多いですよね。
で、パリもそうだけどロンドンがやっぱり面白いギャラリーが多くて、ギャラリーかどうかも分からないようなギャラリーもありますからね!
田辺
なるほどね~
森田
だから凄くそれが良いのと、あと王道ですけどサーチギャラリーはやっぱり無料で開放してるところが良いですね!
で、結構入れ替えもあるので時間が取れたら必ずサーチ行ったり、あとはサーペンターギャラリー!
田辺
はい、サーペンター!
森田
サーペンター、サーチは時間が取れたら見たいですよね。
やっぱりこうロンドンは特に凄い上流階級とパンクの世界の両極があるじゃないですか。
田辺
面白いですよね~
森田
そう、で、上流階級を、えーっと、なんでしょうね、風刺?する、例えばバンクシーみたいのがいたりとか。。。
田辺
はいはい、セックスピストルズじゃないですけどね。。
森田
で、そうかと思えば凄く緻密なアーティストとしてデミアン・ハーストみたいのもいたりして。。もう、マネージメントも全部出来てしまうみたいな。
アートのプロダクションも作っちゃう、で、物も作る、で、自分で企画もする。。。そういう人もいますね。
田辺
はいはい。
森田
だからそういう土壌がロンドンは凄くあるような気がします。
田辺
刺激的な。。。
森田
ベルリン行って面白かったですけどね。
田辺
面白かったですか?
森田
うん、ベルリンもやっぱりギャラリーも結構多くて、それこそ本当にギャラリーかどうか分からないのもいっぱいあったし、
あと、アーティストビザが気軽に取れる街みたいで。。。
田辺
あーそうみたいですね。
森田
だから街中の色んなところにアートがいっぱいあるような、普通に落書きもレベル高かったりするしね。。
田辺
あーなるほど!
森田
で、ベルリンは音楽もファッションもアートももの凄いパワー感じましたね。。。
田辺
なんか、日本のアーティストもベルリンに留学してる人多くて、本当にそのビザのことらしいです。
森田
そう、取り易いですね。だから、受け入れ態勢があるんですよ。
だからああいうところ行くと本当に良いなと思いますね。
アートが身近ですよね、あと写真もドイツは盛んなんで。。。
ニュートン美術館なんかもう感動しますよ!
田辺
あ、そうですか!?
森田
ヘルムト・ニュートン!感動!
あの大判が見れるなんてもう最高の幸せですよね~
田辺
あーそうですか、凄いですね~
森田
家が再現されているんです、書斎が!
田辺
へぇ~
森田
それが凄くて、あ~こういう家に住んでたんだ~って。
田辺
どんな感じなんですか?
森田
なんかね、本当に無造作、なんか、デスクワークがあってARAKIさんの写真が置いてあったりとか、本当に私物が全部、彼が興味ある物が置いてあって、結構ポップなデザインでしたね。
田辺
へぇ~まあ、センス抜群ですからね~
森田
そうです、いや~でも本当に良かった~
田辺
もう亡くなって。。。
森田
亡くなってますね。。
田辺
そんなでもないのにもうミュージアム出来ちゃうんですね~
森田
だからドイツってそういう土壌がちゃんとあるんですよね。
あとは。。こないだ時間取れたんでロスはいろいろ回ったんですよ。
田辺
はいはい。
森田
そしたらもう昔そういうのなかったエリアもギャラリーとかどんどん増えて来てて。
で、そのエリアってあんまり良くないエリアだったのがだんだん良くなって来てて。。。
田辺
はぁ~なるほど!
森田
いや~すっごい増えてましたよ。
田辺
ニューヨークもね、NEW MUSEUMが出来て、ロウワーイーストにレストランとかギャラリーとか出来たりしてますよね。
そういうアートの拠点を中心に盛り上がるって海外ありますよね~
森田
だから、日本も大分盛り上がって来たんだろうけど、なんだろう、えーっとまだ、なんっていうんですかね、目指してる途中なんでしょうね。
田辺
なんかその、アート好きの若者とかはギャラリーとか行くんですけど、一般の人はなかなか。。。
森田
行かないですね。。。向こうはもう親子連れでね、もうちっちゃい頃からアートに触れてますからね。。。
田辺
そうですよね~
森田
そのお母さんとお父さんもやっぱり同じようにされて来てるから。。。やっぱり、その、親の影響って大きいじゃないですか。
田辺
そうですよね~なんかアートに対するリスペクトみたいのってヨーロッパは凄いですよね~
森田
凄いです!
田辺
日本だと絵描きとかっていうとなんか道楽者なんじゃないかみたいな。。笑
そういうね、イメージみたいのが。。
森田
だから海外のお客さんとか多いから会話する時にアートの話するともの凄い盛り上がりますよ!
田辺
そうでしょうね~
森田
話のキッカケとしてはアートはもう最高ですね。
田辺
アートフェアもよく行きますね。
森田
はい、マイアミバーゼル行った時なんかも何万点ってくらいアートを見るじゃないですか!
田辺
見てますね~
森田
でも、そんな中で結局1個買うか2個買うかじゃないですか。
それはやっぱり出会いなんでしょうね。
田辺
そうですね~きっと。
本当にマイアミは一言で言うとその出会いを求めてるって感じですよね、毎回。
毎回出会う同じ絵もありますしね~
森田
で、行くと、去年買ったギャラリーが待ち構えている!笑
田辺
そうですね~笑
森田
待ち構えてるんですよ!笑
今年はね~~みたいに!笑
田辺
手ぐすね引いて!笑
森田
手ぐすね引いて!笑
田辺
そうなんですよ~買うとね~ギャラリーからこの人は買う人ってなる。
森田
ね~本当に!
で、今回はこれ買ったんですよ。
田辺
へぇ~この作品に付いて最後にちょっと話したいんですけど、これももちろん僕も見てなんか「あ~森田さん好きそうだな~」って。笑
森田
ははは~笑
田辺
そしたら案の定買っちゃった!笑
森田
あははは~笑
田辺
これ、選べるんですか?
森田
選べるんですよ!いろいろあって。。
田辺
あ~!で、ドンペリとルブタンとシャネルと。
そうですよね、当然!
森田
これ家の奥さんに注入すると当分もの買わなくなる!笑
田辺
あーそういう役目もあるんですね!笑
森田
点滴ですからね!
田辺
そうですよね、ブランドの点滴っていうのがおかしいですよね~
森田
他にも色々あるんですよ、ロレックスもあったし、車のブランドもあった。
で、好きな奴3つ選んで。。。でもこれ、増やして行けるから面白いよね!
で、ゴールド使ってるし、ちゃんと。。
田辺
本当ですね~
森田
点滴。。でも、これはウィットに富んだ物が好きっていうのの究極で。。
田辺
ほんとうですよ~ブランドカルチャーを皮肉ってる!
森田
皮肉ってる。
そうそう、シャネルの関係者の方にこのシャネルの掛かってる奴見せたら爆笑してました、「いいね~!」って、爆笑してました。笑
田辺
ウォーホルのキャンベル缶スープじゃないですけど、アイコンになるべき物ってことですから。。。
森田
だから変なアートだとたぶん怒っちゃうけど。。
田辺
中途半端だとね~でも、ここまでやったら面白いですよね~
森田
ねえ~
田辺
いや~このオブジェは凄い!
そして選んだのがドンペリとルブタンとシャネルてところが。。。
森田
日々の生活に必ずあるもの!笑
森田
今日は靴はルブタンだしジャケットシャネルだし、今日の夜はドンペリ飲むでしょうから!笑
田辺
ははは~毎日どっかで!笑
なるほど~もうこれは即買いでしたか?
森田
即買いでした!
速攻でした、もうほぼ値段聞いてなかったです。笑
田辺
結構したんですか?まあまあ?
森田
まあまあでしたね~
田辺
でも、これはもう値段じゃない。
森田
そうですね~
田辺
いや~今日は楽しいお話しと素敵なコレクションをどうもありがとうございました。
森田
ありがとうございました!!
グラマラス