VOL.8 IKUKO WATANABE

過去にインタビューしたコレクターを再編集してお届けしているCOLLECTOR VOL.8でお送りするのはスタイリストであり作家としても本を出している渡辺いく子さんです。
独自の視点でファッションとアートを見つめるライフスタイルを持つベテランのスタイリストさんです。

 

田辺:

今日はどうも、よろしくお願いします!

渡辺:

あ、はい。よろしくお願いします。

田辺:

なんか、いく子さんとはもうずいぶん長いんですけど、ニューヨークで。。

渡辺:

あ、そうですよ、最初に会ったのニューヨークですもんね!

田辺:

誰も、ここには他に日本人なんかいないだろうなみたいなクラブに。。。

渡辺:

クラブとかパーティーに絶対にいるの!一人でも!笑

田辺:

そうそう!

渡辺:

1人でも!単品でもいくという。。。

田辺:

そう!さっと現れるという。。

渡辺:

はい!笑

田辺:

いく子さんはファッションのスタイリストで本もお出しになられてるんですけど、最近、アートの世界とファッションの世界が近づいて来たりして、まあ、川久保さんみたいな?

渡辺:

はいはい!作品、みたいな?

田辺:

アートとファッションの関係って?

渡辺:

あとマルジェラもそうですよね!

田辺:

そうですね、あとアレクサンダー・マックィーンがメトロポリタン美術館でで回顧展やったりとか。。。その辺でご自身が持ってる感想とか?

どういう事なんでしょうね、アートとファッションって?

渡辺:

どういう事なんでしょうかね?

えーっと、やっぱり、まず1970年くらいからウォーホルが出て来て、美術と商業美術?

ちなみにわたし、それを卒論にしたんですけど。

誰にも受けなかったんですけど。。。笑

田辺:

卒論に書いたんですか!笑

渡辺:

そう、卒論にしたの!

ポップアートっていうか、商業美術と美術っていうのが始まって、で、川久保さんとかも出て来て、ファッションっていうのも、普通に着れるウェアラブルなカジュアルなものの他に、これって舞台衣装じゃないの?みたいな、それは72年のデヴィッド・ボウイの山本寛斎なんかもそうですよね。

田辺:

うんうん。

渡辺:

そう、だからそれがステージ上だけのものだったのがだんだん下りて来て。

だから例えばアーティストの恰好とかでも。

それで、ファッションの方も装飾的なものを一般の人も着るようになった。

昔だったら貴族の人達が着ていたものがロンドンポップぐらいからツェッペリンとかそういう貴族の恰好していたじゃない?

田辺:

あ~はいはい。

渡辺:

うん、で、そこぐらいから始まって、装飾過多なものを普通に着ちゃうっていうムーブメントもあって。

で、その後にウォーホルとかキース・ヘリングとかグラフィティー的なものとかシルクスクリーン的なものが出て来て、私もシルクスクリーン取ってたんですけど学校で、で、写真もやってたんですけど、それってそのままTシャツとかに刷れて。。。

田辺:

そうですよね!

渡辺:

はい、そうすると、それがたまたまTシャツに刷ったものはウェアラブルでファッションになるし、キャンバスにプリントしたらアートになる!ってことでだんだん融合して来ちゃった。

田辺:

なるほどね!

渡辺:

その二つですね、商業的なものから来たアートと、それから川久保さんとかそのうちトム・ブラウンとかに行く造形的なもの?

フォルム的なもののアートと、その両方からファッションとアート、美術っていうのは融合して行ったんじゃないかと私は思うんですけど。

田辺:

そうですよね、川久保さん作り出すデザインって衝撃的だった。

渡辺:

衝撃的でしたよね!そこには現代アートに通ずる考え方があって。

やっぱり現代アートっていうのはきれいとかっていうよりもノイズが入る。

どこか引っ掛かるのが現代アートじゃないですか。

だから川久保さんのファッションっていうのは現代アートだと思って。

アンチテーゼとか、何か定義しますよね?

そのものを人が見る事によってなんか心に引っ掛かる。

なんか、変だな?おかしいな?

ビザールっていうか、ちょっと気持ちが悪いなっていうのでも何でも良いと思うんですけど、そこから、じゃあなんでそうなんだろう?って考えさせる。

そういう点では川久保さんの作品はまさに現代アートだと思います。

田辺:

そうですよね。出て来た時も衝撃的でしたけど、今も第一線で挑戦し続けているというか。。。

渡辺:

はい、で、更に恐ろしいことには、彼女の服はそれをやってらっしゃる時には分からないんですけど。

その時はこれ着れないでしょ、絶対にあり得ないでしょって思えても形を変えて若い子達がインスパイアーされ3年後5年後にはそれが街のものになってしまうところが凄いんですよね。

田辺:

そうですよね、ただの好き勝手なアート作品ではなくて商業製品としても成り立っている。

渡辺:

で、ウォーホルとかもそうですよね、最初これはいたずら書きなんじゃないかとか。。

最初に1975年かなんかに日本橋三越で第一回の回顧展やった時に毎日行ってたんですけど、その頃はもうガラガラで誰にも相手にされず。

でも六本木ヒルズで回顧展やったら毎日満杯で、皆そんなにウォーホル好きだったんかい?みたいな。

だから、時代?その時は分からなくてもちょっと先の時軸を行っている?

川久保さんのファッションとかもそういうところありますよね。

田辺:

ありますよね。

ファッションって繰り返すっていいますけど、川久保さんとウォーホルに共通してる何かがありますね。

渡辺:

そう、時代の先を行って流れを超えちゃったみたいなところがありませんか。

田辺:

ウォーホル展もかなり彼の活動を多岐に渡って紹介していて若い人も見に来てましたよね。

渡辺:

見に来てましたよ!

田辺:

若い人なんてウォーホル知らない?

渡辺:

知らないですよね!はい。

田辺:

新鮮だった?

渡辺:

パナソニックとかのコマーシャルも知らないし。

田辺:

知らないですよね!笑

渡辺:

特に亡くなってから結構経ってるからユニクロのTシャツでしか知らないかもしれない。

田辺:

そうですよね。

渡辺:

はい。

田辺:

だから、そういう人達が見たっていうのは貴重ですよね。

渡辺:

貴重ですよね、その三越のあとにも何回か展覧会やっているんですけど。

清澄の現代美術館でもやりましたよね?

田辺:

あーそうなんですか!

渡辺:

その時もね、そんなに人はいなかった。

田辺:

じゃあ森美術館は凄い?

渡辺:

ちょっと異常でしたよね。

まあ、なので、一番先端のファッションと現代美術っていうのは凄く似ている。

でも、美術っていつもそうで、出た時はアバンギャルドっていわれる?

例えばスーラーの点描画とかゴッホでもそうですよね!

最初は何これ?みたいな。

田辺:

1枚しか売れなかった。

渡辺:

そう、それも親戚だか弟が買い支えたっていう。

それが今じゃ億単位で素晴らしいって。

だからちょっと時軸とずれて先を出しちゃうんじゃないですかね。

田辺:

ファッションでも。

天才とよばれる人は?

渡辺:

ファッションでもアートでも!天才という人は。

そこが美術というものとファッションというものがリンクする。。。

特に今の時代はそれが凄くリンクしている。

あ、でも浮世絵なんかもそうじゃないですか!

江戸時代の町娘とか遊女がオシャレの先端を行ってたんじゃないの?みたいのだけを集めた企画展を見たことあるんですけど、あれもそうじゃないですか。

田辺:

そうですね~

渡辺:

浮世絵だって当時は町のブロマイドみたいなものですよね?

それが今やアートになっていて。

田辺:

あ、先に海外で評価されちゃってね。

渡辺:

はいはい。

で、そこからまたゴッホとかに行ってるんですよね、構図とか影響与えたりして。

田辺:

大胆な構図ね。

渡辺:

はい。

田辺:

もうファッションではめちゃめちゃ洋服もお買いになって、ファッションを好きだと思うんですけど、アートも同じ軸というか。。

渡辺:

そうですね。。

というか、割とひねくれ者なのでたまたま好きだと思ったものは人が気にしようがしまいが買うよ!っていう。。。笑

マチスもリトグラフ持ってるんですけどね、サイン入りのね。

でも、普通だったら切り絵みたいなきれいなの買うんでしょうけど、それなんか線画でのっぺらぼうで。。。

それはね、どうして買ったかっていうとニース?カンヌ?あっちの方にマチス美術館があるじゃないですか。

田辺:

あーありますね!

渡辺:

そう、で、私凄くマチスが好きで見に行ったんです。

私好きだとそこまで見に行っちゃうんですね。笑

クリムトとか好きだからってウィーンも行ったし。。。

その時にマチスの美術館ってステンドグラスとかあって。

色だけのステンドグラスだけど。

そこの壁に描いてあったシリーズで、実際にそこには枢機卿の石版画シリーズがあったのだけど、それをたまたま青山かなんかのギャラリーで見かけて買っちゃったんですよ。

田辺:

そうなんですか!

渡辺:

そう、それはバブルの時に買っちゃったんです!笑

田辺:

素晴らしいですね。

凄い価値が上がってると思います。

渡辺:

上がってるんですかね?

田辺:

下がる事はないです!

渡辺:

ないですかね。

でも、刷り数が多いからリトグラフだし。

田辺:

そりゃあもう、サインが入ってれば大変なものです。

渡辺:

入ってるんですよ!

田辺:

好きなものは誰が何と言おうと突き進むみたいな事をおっしゃってましたけど。

渡辺:

はい!

田辺:

例えば欧米と、まあ、単純に欧米との違いと言っちゃうのもなんですけど、日本人は自分で判断出来ないとか、ブランドに走っちゃうとか。

でもいく子さんはまず、自分に何が似合うのか?好きか?なんですね。

渡辺:

そう、好きか!

田辺:

そう、それを考えずに人がいいっていうものに走るみたいな話がありましたよね。

渡辺:

そう、流行ってるからそれを着なきゃいけないんじゃないかとか。

それは洋服でも美術でもそうですけど、今これが来てるからこれを着なきゃみたいな、でも、お洒落からいったらそれはもう終ってるんですよね。

過去なんですよね。

田辺:

なるほど!

渡辺:

で、勘で行ったものはさっき言ったみたいに誰がけなそうが誰が認めまいが自分が好きだったら良い。

だって、海外のコレクターの映画あったじゃないですか!

あのおじいさんとおばあさんの!

あれもそうじゃないですか!

全然売れてないゴミみたいな現代美術を買い支える人達がいるから良いんじゃないですか。

洋服だって流行ってるものばかり買ってたら詰まんないじゃないですか。

田辺:

そうですよね。

渡辺:

音楽でも何でもそうなんですけど。

でも、分かんない人は別にそれでも良いと思うんですね。

ただ、お洒落を自覚する人とか嫌な言い方ですけど、まあ、グローバルで言ったらそういう姿じゃないんじゃないかなって。

私は高校の時からギャルソン着てたんですけど、そんなのもう本当におかしい人ですよ。

ギャルソンとビビアンを着てる高校生。

その後に50sに狂ってLA古着にハマっちゃったんですけど。

それは当時の流れと違ったんですけど今来てるじゃないですか。

田辺:

来てますね!

渡辺:

なので、ファッションにしても美術にしてもやっぱり好きなもの?

だってもし流行ってるからって買ったらそれが流行らなくなったら嫌い?っていうか、それに自分の価値はない訳じゃないですか。

田辺:

自分で気に入っているっていう。

渡辺:

そう、気に入ってるっていう軸があれば良いじゃないですか。

田辺:

いつまでたっても良いですけどね、人の評価ではなく。

渡辺:

人の評価ばっかり気にしてたら。。

まあ、それはそれでそういう生き方もあるかも知れないですけど、ちょっと私は。

まあ、良い意味で偏ってるってことが良いと思ってて。

偏ってる事はいけないって教育を受けがちじゃないですか。

でも、偏って良いと思いませんか?

例えばビュッフェに行ってもトマトが好きならトマトだけ取って来ても良いし。

海外の人のビュッフェってそうじゃないですか、同じ物ばかり取って。

でも、日本って端から順番に取っていくじゃないですか。

だから混むんだと思うんです。

あんなのトマトならトマトのとこだけいけば混まないんですよ。

田辺:

確かに!

渡辺:

でしょ!

だから美術も、私は池田衆さんの作品が好きだし。

そしたらやっぱりコレクションっていうか、好きな作品があったらそれを買いたいし。。で、なんか知らないけど集まっちゃった。

田辺:

でも、それが最終的には一番の幸せ?

渡辺:

うん、幸せですよ、でも実際家には掛けれる白い壁面が一面しかないので掛変えなきゃいけないんです。

で、トランクルームに入っててちょうど今掛け変えようかなと思って。

田辺:

それはシーズンの変わり目とか?

渡辺:

というか、気持ちで。

田辺:

あーなるほど。

渡辺:

はい。全部は掛けられないので。

田辺:

そうですよね。

渡辺:

で、居間を片付けるともう一面できるから、そこにも掛けようかなと。

田辺:

でも、日本の床の間文化とかね。

渡辺:

あ、そうです!そうです!

掛け軸!そうですよ!

田辺:

なんか、季節でね。

渡辺:

季節で!そうそう!

掛け軸的な絵の掛け方ですね、私は。

田辺:

良いですね!

でも、日本のマンションだと釘打っちゃいけないだとか。。。

渡辺:

打っちゃいました!笑

田辺:

ははは!

渡辺:

あ、でも、今は色んなのがあるじゃないですか!

田辺:

あ、跡が残らないやつとか?

渡辺:

そう、跡が残らないやつとか、強力な接着剤とか。。

だからちょっと工夫出来ると思いますよ。

家の父が実は美術が好きで、養清堂画廊っていうのが銀座にあったんですけど。

そこの美術印刷を実家がやっていたんですね。

だから小さい頃から画廊に出入りしてて、小さい頃から無理矢理に現代美術を見せられていたんですね。

あと、父が展覧会が好きで色々連れて行かれたんですよ。

訳も分かんない頃から。

だからブランドで見るっていうよりは父の好きなものを見せられていたのでその中で自分が好きなものはやっぱり良いなって思う訓練が出来てたのかもしれないですね。

田辺:

よく言われるのが日本の美術は鑑賞教育じゃないみたいな。

渡辺:

うん、本当にそうですよね。

歴史とかっていうよりも鑑賞して、興味を持ったらそれについて調べて行けば良い訳じゃないですか。

田辺:

よく海外の美術館に行くと子供がね。

渡辺:

そう!

だからあれとか負けた!って思いません?

田辺:

ははは

渡辺:

だから、例えばね、美術だけじゃなくて、私アナスイとか前にインタビューした事あるんですけど、彼女とかはやはり小さい頃から色んなものを見てるから今のショーとかに反映される訳じゃないですか。

やっぱり、それが色なのか形なのか、よくいるじゃないですか、床に座って先生の話聞いてるみたいな、それもこれどう思う?鑑賞と感想ですよね。

でも、日本だとこれは何年に描かれた絵で誰々の弟子でみたいな、そんなの超どうでも良いって感じですよね!

ほら、あの、ブルースリーが言ってたDon’t think feelってやつ。あれですよね。

田辺:

確かに!

渡辺:

でも、それは美術もファッションもそうだと思って。

自分が凄く良いと思えばそれに対して熱心になって例えばお金を使う?

それがアーティストとかデザイナーを支える事でもあるし。

流されているんではない。

そうそう、美術教育そこ違いますよね。

鑑賞教育ですよね。

田辺:

鑑賞教育が基本。

渡辺:

あの子供達、私最初に見た時にやられたと思いましたよ。

田辺:

そうですよね。だから日本ももっとそうなってくれれば良いと思うけどやっぱり点数う付けたがるっていうか、皆一律で。。。

渡辺:

もう、あとは個々ですね、親ですね。

田辺:

そうですね。

渡辺:

小さい頃から連れて行かれたら、それで分かんない人は分かんないで良いじゃないですか。その人はもっと他に音楽とかに感ずるものがあるかもしれないし。

田辺:

そうですよね。

田辺:

ところで、日本だとアート界ってお金が回ってない。

渡辺:

あー回ってないですよ!

田辺:

そうすると若い才能ある作家とかも評価が低くて。

渡辺:

そう、継続しづらいですよね。

田辺:

だからアートでお金を稼ぐってことが、アーティストにとってはそれが仕事な訳だからお金が儲かればより良い環境でもっと作品が作れるとか相乗効果があるじゃないですか。

そういうのがね、まあ村上さんみたいに海外に出てければね。

渡辺:

そう!出てければね、奈良さんとかね。

出て行っちゃえば良いけどね。

田辺:

でも、大部分のアーティストって出て行けない性格というか。。

渡辺:

出て行けないよね。

それってファッションもそうですよね。

若い人で面白い人がいたら買って買い支えるってことですよね。

田辺:

買い支えるね。

渡辺:

よく、あ、このブランド好きだったのに潰れちゃったって言って一枚も買ってない人いるじゃないですか!笑

田辺:

ははは、買えよ!と。

渡辺:

買えよ!ですよ。それは町の定食屋もそうじゃないですか!

あ、締めちゃった!みたいな。

でもこの頃行ってなかったなあ~。。

だから潰れたんだよ!みたいな。

アートもファッションも定食屋もまったく一緒じゃないですか。

田辺:

確かに!

なんか、本の中に高級なバッグ持って地下鉄乗ってる女性の話があって面白かったんですけど。。。

渡辺:

でも、あれは武装だからね。。

田辺:

あーそうですよね。

渡辺:

そう、盾だし、武器だからね。。。

あ!でも、日本のアートの買い方ってそうじゃないですか、私ウォーホル持ってるのよ!とか、さっきのマチスで、マチス持ってるのよとか、武装じゃないですか!

ウォーホルある素敵なお家みたいな!笑

田辺:

そういう人もいますね。

渡辺:

いますよね!

田辺:

それはそれで良いと思うんですよ。

渡辺:

まあ、お金出してるから良いんですけど。

田辺:

ただ、日本だと家に行くって習慣が海外ほどないから自慢出来ないから持って歩けるバッグの方が手っ取り早い。

渡辺:

そうですね!すぐに見せられるもんね。

それはあるかもしれませんね。

田辺:

でもね、世界の経済水準的に第3位か何位か分かんないですけど、高いのに文化はね。。。

渡辺:

文化に対するなんだっけ、GDP?は低いですよね。。

私も現代美術に関しては素人じゃないですか。

まあ、美術手帖はずっと読んでますけど。。。

ある意味、ファッションに対しても素人なんですよ、私は。

田辺:

あ~でもそれは良い事ですね。

渡辺:

はい。いわゆるブランド好きではない。。

ブランドは好きですけど皆のようなミーハー好きではないし。

私オタクなんで、さっきみたいに、聞かれればなんでも、歴史とかでもなんでも紐付けて語れますけど。

今の日本のファッションってそんな事は誰も求めてなくて。

私と同じ事をもしも英語で外人が言ったら凄いお金になると思うんですけど、世界中で!?でも私はまあ、素人で良いのかなと。

ファションも美術も。

田辺:

分かり易いですよね。

でも、クロウトにはしたくない。

今日話されたようにまず本当に自分の好きなものを知るというか見つけるみたいな話ですね。

渡辺:

うん、ただ、それが全ての人に出来るかっていったら。。

海外の人って割と小さい時から好きか嫌いかって言う訓練をされてるじゃないですか。

だから、例えばね、レストランとかでオーダーするのでも肉の焼き方からサイドはポテトにするのかどうかまでもう決まってるじゃないですか。

で、あの人達コーヒーしか飲まない人達はコーヒーしか一生飲まないんですけど、日本人って迷うじゃないですか。

あれはなんで迷うのか私は分からない。

だけど、そういう気質なんですよ、きっと、小さい時から。

うちはもうすぐに決めないと置いて行かれたりもらえなかったりしたので、だったらもう面倒くさいからずっとコーラで良いですみたいな。

私はじゃあ紅茶ですみたいに決めさせられたんですけど、毎回毎回。

たとえば飛行機でもそうでしょ?お飲物何にします?って考えるってあり得ないじゃないですか!

田辺:

分かってることですよね。

渡辺:

そう!あ、だったら水とコーヒー!とかってすぐに注文しますよね。

でも、それを迷うのがファッションもアートも日本人気質だと思うんですよ。

決めるっていう訓練が出来てない。

だから外国とか行くと長い列になっちゃうし、もどかしいって思われちゃう。

何が好きか分からないって。

田辺:

そこが奥ゆかしさとか美徳なのか分からないですけど。。遠慮するとか。

渡辺:

あとね、チョイスが今は多過ぎる!江戸時代なんかそんなチョイスがなかったから、そんなに選べなかった。

だってあたし達の小さい頃だって毎日同じもの食べてましたよね!

だから今私それに戻ろうかと思って。

ファッションもそうなんですよ。

それで良いじゃないですか。

別に、好きなものをずっと食べてれば良いじゃないですか。

偏ったって、偏ってますよ、どうせ、みたいな。

田辺:

そうですね、迷ったまま色々持つよりもまずは捨てなさいと。

渡辺:

そうなんですよ!

だから、今まででついちゃった迷いの部分は持っている必要はないっていうことですね。

田辺:

なるほど、分かりました!じゃあ絵の説明を最後に。

渡辺:

あ、はい!

これは池田衆さんの作品です。

大好きな作家でコレクションしているんです。

田辺:

なるほど、いいですね。

今日はありがとうございました。

渡辺:

はい、ありがとうございました。