TAKUMA NAKAHIRA

東京国立近代美術館にて中平卓馬の展覧会、「火ー氾濫」が開催されています。

中平卓馬は日本の戦後写真における転換期となった1960 年代末から70 年代半ばにかけて、実作と理論の両面において大きな足跡を記した写真家です。

その存在は森山大道や篠山紀信ら同時代の写真家を大いに刺激し、またホンマタカシら後続の世代にも多大な影響を与えてきました。

1960 年代末『PROVOKE』誌などに発表した「アレ・ブレ・ボケ」の強烈なイメージや、1973 年の評論集『なぜ、植物図鑑か』での自己批判と方向転換の宣言、そして1977 年の昏倒・記憶喪失とそこからの再起など、中平卓馬のキャリアは劇的なエピソードによって彩られています。

この展覧会では、あらためて中平卓馬の仕事を丁寧にたどり、その展開を再検証するとともに、特に、1975 年頃から試みられ、1977 年に病で中断を余儀なくされることとなった模索の時期の仕事に焦点を当て、初期から晩年まで約400 点の作品・資料によって再起後の仕事の位置づけについてもあらためて検討しています。

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