YORIKO TAKABATAKE

六本木にあるギャラリー、ShugoArtsにて髙畠依子の作品展「CAVE」が12月24日まで開催されています。

2016年以降、髙畠依子は森羅万象の循環の中に絵画の生成過程を捉え、「風」、「水」、「火」、「磁力」といった自然の力を使う表現を作品に取り込むようになりました。

アトリエで素材や技法の実験を重ねて、観察に基づいて模型や仮説を作り上げていく科学的な制作手法によって絵具とカンヴァスの関係を探求してきたのです。

この展覧会の作品制作にあたり髙畠依子はさらに歩みを進め、地球の内奥に目を向けました。

「CAVE」と称された一連の作品シリーズは、2019年にラスコーや先史時代の洞窟壁画を求めて旅をした髙畠依子が、人類史上初の絵画が描かれた洞窟空間や鍾乳洞にインスピレーションを受けたことに始まります。

二酸化炭素を吸収しながら徐々に石灰岩へと戻り固まっていく漆喰を絵具として用い、長年研究してきたカンヴァス地の特性を生かし、ニードルパンチ、カッティング、縮絨、玉結び、しわ加工を施した麻布に繰り返し浸していきます。

重力によって粒子が徐々に堆積し、あたかも鍾乳洞が生成するかのようにカンヴァスと素材が反応しあって形態が作られるという独自の制作手法を編み出したのです。

SHUGOARTS