2023年 7月 01日TRAVELING FOR ART
NAOFUMI MARUYAMA
箱根にあるポーラ美術館にて開催されているHIRAKU Projectにて丸山直文の展覧会が開催されています。
HIRAKU Projectは過去にポーラ美術振興財団の助成を受けた作家を紹介する展覧会シリーズです。
丸山直文は1990年代の活動初期から一貫して水彩による絵画を描き続けています。
カンヴァスを立てて描く伝統的な絵画の制作法とは異なり、丸山直文は、水を含ませた綿布を床に置き水平な状態で作品を描きます。
にじみやぼかしを意図的に取り入れた画面の中でかたちの境界は曖昧に揺らぎ、アクリル絵具の鮮やかな発色とともに、判然としない夢のような世界を生み出しています。
今回の展覧会は、「水を蹴る―仙石原―」と名付けられました。
水たまりを蹴り上げると、水面に映った静寂な世界が崩れてしまうように、私たちの足場がいかに不安定で、見知った世界が一変してしまう可能性と常に隣り合わせであるか。
震災、パンデミックや気候変動を経験した私たちは、その事実を改めて目の当たりにしました。
本展のタイトルには、世界の、あるいは私たち自身の不確かさに対する丸山直文の意識が顕れています。