2024年 12月 24日TRAVELING FOR ART
TEPPEI TAKEDA
神宮前にあるMAHO KUBOTA GALLERYにて武田鉄平の新作個展「まるで、花のような」が開催されています。
1978年山形市生まれの武田鉄平は、少年期からアーティストを志し、唯一無二の表現を追求するため、芸術全般への知見と考察を深めてきました。
東京の美大を卒業後、就職を経て一度山形に帰郷し、その後約10年間、作品を一切発表せず、絵画の本質と向き合い続けました。
長く孤独な探求の末に辿り着いた「描くことを描く」というコンセプトは、武田鉄平がこだわり続けた「絵画」というメディアに留まりながら、絵画の本質を根底から揺さぶる試みでもありました。
シンプルなアプローチでありながら既存の絵画表現の境界を跳び超える可能性を示す、このオリジナルな手法の獲得により武田鉄平は「何らかの主題を絵に描く」ペインターではなく、絵画というメディアの成り立ちそのものに挑むコンセプチュアルアーティストとしての道を歩み始めました。
「描くことを描く」という実践のもと制作された10点の絵画が初めて世に発表されたのは、2016年に山形の多目的スペースで開催された初個展でした。
真っ白な背景に人の顔を抽象的に描いたかのように見える作品群のもつ説明し難い引力は鑑賞者に強いインパクトを与え、その反響は2019年にユナイテッドヴァガボンズから出版された初の作品集である「Paintings of Painting」、そして同時期にMAHO KUBOTA GALLERYで開催された個展へと繋がっていきました。